【米】セレラ・ジェノミクス社ら・人間のDNA(遺伝子)配列97%解読
1月10日、米国の生命工学のベンチャー企業2社は、人間の全遺伝子のうち、推定97%のDNA配列の解読を終えたことを発表した。このうちの1社であるセレラ・ジェノミクス社は、昨年9月の解読開始から現在までに、約30億の塩基(遺伝暗号文字)対が並ぶ人間のDNAのうち、約26億塩基対を解読。DNA配列のうち、意味のある遺伝子部分については97%以上の解読が終わったとしている。解読した遺伝子の一部は米特許商標庁から特許が認められていることから、将来のバイオ産業発展のカギを握るとされるヒト遺伝子研究は、民間企業が先行することが明確になった。これにより、遺伝子の利用権の大半が、米国の民間企業に独占される恐れも出てきた。

ヒト遺伝子は、およそ10年前から日米欧の国際共同プロジェクトである「ヒトゲノム計画」が解読に取り組み、すべての解読が終了するのは2005年頃といわれていた。日米欧共同チームによる解読は、正確さを重視する方法であるため、近年の企業間による解読競争の激化にともない、ここへきて一気に抜かれる形になった。遺伝子の解読が早く進むことは歓迎されるべきだが、一部の民間企業に遺伝子の大半を独占されることになると、将来、わたしたちが遺伝子治療を受けるたびに、そのつど特許料を支払わなければならなくなる。

セレラ社は、今夏にもすべての解読作業を終える予定だと話している。これに対し共同チーム側は、2005年の予定を2003年に早め、「独自に解読を進め、特許申請をしている米国のベンチャー企業に金を払う必要はない」とコメント。国と民間による熾烈な解読競争はしばらく続きそうだ。


|milk vol.25 2000/01/22 |home2000

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