【特集】公開直前・映画『マルコヴィッチの穴』徹底分析!!
全国松竹、東急系にて9月23日(土)よりロードショー
監督:スパイク・ジョーンズ 脚本・製作総指揮:チャーリー・カウフマン
製作:マイケル・スタイプ/サンディ・スターン/スティーヴ・ゴリン/ヴィンセント・ランディ
製作総指揮:マイケル・カーン 撮影:ランス・アコード
音楽:カーター・バーウェル 人形師:フィリップ・ハーバー
出演:ジョン・キューザック/キャメロン・ディアス/キャスリーン・キーナー/ジョン・マルコヴィッチ/他
上映時間:112分 99年・アメリカ
配給:アスミック・エース

□公式ホームページ(マルコヴィッチの穴)
https://www.mal-ana.com/ ※2009年現在、リンク先は別サイトになっています


□筆者:水原文人/「プレミア日本版」映画批評家

■ストーリー&解説 『ベルベット・ゴールドマイン』の製作スタッフが再び結集

人形遣いのクレイグ・シュワルツ(ジョン・キューザック)と妻のロッテ(キャメロン・ディアス)は、 ひょんなことから映画俳優のジョン・マルコヴィッチの頭の中につながる穴を見つける。 そこに入ると誰でも15分間マルコヴィッチになることができた。 これを利用して商売を始めたところ、その"マルコヴィッチの穴"は 大繁盛、連日行列が続いた。 自らの異変に不安を覚えたマルコヴィッチは友人のチャーリー・シーンに相談をもちかける…。

俳優ジョン・マルコヴィッチの頭へとつながる穴を巡る独創的な世界を描き、 今年のアカデミー賞で助演女優賞・監督賞・脚本賞の3部門にノミネート。 監督は、本作が長編デビュー作となる天才クリエイター、スパイク・ジョーンズ。 製作は、トッド・ヘインズ監督・脚本作『ベルベット・ゴールドマイン』('98) で製作総指揮を務めたマイケル・スタイプ、サンディ・スターンらが名を連ねる。 撮影は『バッファロー‘66』('98)で一躍有名になったランス・アコード、 音楽は『セルロイド・クローゼット』('95)『ベルベット・ゴールドマイン』('98)のカーター・バーウェルが担当。9月23日(土)より全国公開(16日に先行オールナイトを予定)。

マルコヴィッチ、マルコヴィッチ? マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ! ♪マルコヴィ〜ッチ。 あまりにヘンな発想が見事映画になって、人間のアイデンティティ(セクシャリティ も含め)について案外ディープな映画になってしまうからスゴい。 マルコヴィッチ五千人登場シーンには大爆笑。まさに人を食った不条理コメディ。 レズビアンネタも炸裂、ブラッド・ピットやウィノナ・ライダーによるカメオ出演も要注意



■監督/スパイク・ジョーンズ

1969年メリーランド州ロックヴィル生まれ。本名アダム・スピーゲル。 高校卒業後にロスに移り、写真やビデオ撮影を始める。 監督としてはスケートボード・チーム“ブラインド”を撮影した 30分のドキュメンタリーフィルム『Video Days』が初仕事。 その後、94年に監督したビースティ・ボーイズの「SABOTAGE」で 批評家の賞賛を浴び多数の賞を獲得。 以降、ビョークを始め、パフ・ダディ、R.E.Mなどの多くのミュージシャンたちと コラボレーション、MTVアワードのビデオミュージック賞に毎年ノミネートされるなど、 ミュージック界を席巻。ナイキやコカコーラなどのコマーシャル・フィルムでは カンヌ国際広告映画祭パルム・ドール賞を受賞。その他写真家や撮影監督、 プロデューサーといった幅広い顔を持つマルチクリエーター。 『ゲーム』('97)や『スリー・キングス』('99)など俳優としても才能を発揮している。 妻は女優のソフィア・コッポラ。以下、公式サイトより。

「常に現実的でありたいと考えている。常に足元を見続け、街で何が起こっているかを 感じるように心がけている。人々と話しもするし子供たちにも話しかける、 おい、何してるんだい? どんな音楽聞いてるの?っていう感じで。 今回、脚本が本当にいいものだったし、だから僕は、おじけづく必要はなかった」
「マルコヴィッチは、実際に会ってみて想像していた人物とは 違うということに気づいた。シェークスピアを引用する代わりに、ラ ッパーの“スヌープ・ドギー・ドッグ”についてしゃべりだす、とても 愉快な人間だった。そして、自分自身についても鋭いユーモアセ ンスを持っていることを知った。映画の中では大分屈辱的なことも 起るが、彼はそれもすべて気に入ってくれた。『たちが悪ければ悪 いほどいいね』と言ってね」



■主演/ジョン・マルコヴィッチ

1953年12月9日イリノイ州クリストファー生まれ。本名ジョン・ギャヴィン・マルコヴィッチ。 イリノイ州立大学卒業と同時にシカゴで友人ゲイリー・シニーズと劇団ステッペンウルフ・カンパニーを設立。 76〜82年に50以上の同劇団公演で出演、演出、美術を担当。 サム・シェパードの戯曲「真の西部」公演で初めてニューヨークの舞台を踏みオビー賞受賞。 84年アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」でブロードウェイ・デビューを果たしダスティン・ホフマンと共演。 映画はロバート・ベントン監督作『プレイス・イン・ザ・ハート』('84)で本格デビューし アカデミー賞助演男優賞候補となり、 ローランド・ジョフィ監督作『キリング・フィールド』との2作で全米映画批評家協会助演男優賞受賞。 続いて『太陽の帝国』('87)、『シェルタリング・スカイ』('90)など数多くの作品 へ出演し演技派の地位を確立、93年に『ザ・シークレット・サービス』で2度目のアカデミー賞と ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞にノミネートされた。以下、公式サイトより。

「スパイクのボキャブラリーといえば、5つか6つしかないんだ。 『それはいいね』、『驚いたね』、『いかれてるよ』とかね。 それを考えると、あの知性は生まれつきで、本当にいろんな事に興味を持っている男だよ」



■主な映画賞受賞歴

 □ 2000年ゴールデン・サテライト賞作品賞/最優秀助演女優賞
 □ 2000年セザール賞最優秀外国語映画賞
 □ 2000年フロリダ映画批評家協会賞最優秀助演女優賞/新人賞
 □ 1999年全米映画批評家協会賞作品賞/脚本賞
 □ 1999年ニューヨーク映画批評家協会賞最優秀処女作賞
 □ 1999年ロサンジェルス映画批評家協会賞最優秀脚本賞
 □ 1999年放送映画批評家協会賞最優秀芸術家賞
 □ 1999年第56回ヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞
 □ 1999年第25回ドーヴィル映画祭グランプリ/批評家賞



■MILKCINEMA評価:○ T:4 S:5 A:4 P:3 M:3 1900円

■評価について
総合評価マークは(◎…劇場へ足を運ぶ価値有り、デートに最適 ○…DVDで十分と思った △…テレビで十分と思った ×…駄作) Tはテンポ、Sはストーリー・脚本、Aはキャスト・演出、Pは映像、 Mは音楽の評価をについて各5段階で評価。(5…かなり評価できた  4…評価できた 3…順当な出来栄えと思った 2…努力が足りないと 感じた 1…完全に手を抜いているように感じた) 評価で20を 超えるか、ひとつでも5があると、◎評価になります


|milk vol.33 2000/08/22 |home2000

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