【特集】公開直前・映画『ホールド・ユー・タイト』徹底分析!!
シネマスクエアとうきゅうにて9月9日(土)よりロードショー
監督:スタンリー・クワン
製作:レイモンド・チョウ 脚本:ジミー・ガイ 撮影:クワン・プンリョン
美術:ブルース・ユー 音楽:ユー・ヤットユー/キース・リョン
出演:チンミー・ヤウ/クー・ユンルン/サニー・チャン/エリック・ツァン/他
上映時間:93分 97年・香港 35mm/アメリカン・ビスタ/カラー
提供:オメガ・プロジェクト/ポニー・キャニオン
配給:ポニー・キャニオン

□公式ホームページ(ポニー・キャニオン)
https://www.ponycanyon.co.jp/pc-movies/


□筆者:水原文人/「プレミア日本版」映画批評家

■ストーリー&解説 香港で『ブエノスアイレス』を上回る興行成績

新婚生活を送っていたソフトウェア技術者のワイとその妻ムーン。 夫の仕事の忙しさに寂しさを感じていたムーンは、 ワイに恋心をよせる少年ジェと出会い、お互いを求め合う。 しかし、不幸にもムーンは、出張中の飛行機事故で命を落としてしまう。 彼女の存在を再認識したワイに、ジェとゲイの中年男トンがしだいに距離を縮めていく…。

1998年東京国際映画祭・シネマプリズムのオープニング作品として上映されて以来、 一般公開が待たれていた『ホールド・ユー・タイト』が遂に公開。 香港ではアート系映画としては異例のヒット、『ブエノスアイレス』を上回る興行成績を記録した。 監督は、自らがメガホンを取ったドキュメンタリー映画『男生女相』('96年・香港)にて、 同性愛者であることをカミング・アウトしたスタンリー・クワン。 '98年ベルリン映画祭アルフレッド・バウアー賞受賞。 新宿・シネマスクエアとうきゅう(03-3202-1189)にて9月9日より公開予定。

現代に人を愛することについての、率直で真摯で等身大の美しさにあふれた映画。 手法は前衛的かも知れないが、決してハッタリや気取りではなく、人物たちの心に寄り 添うことから、自由に時間を往来し、カメラが空間を浮遊するようにさまようスタイルが、 自然に生まれたのだろう。実はとてもシンプルな映画なのだ。 スタンリー・クワンの繊細なまなざしに心さえ開ければ、誰でも理解できるはず。



■監督/スタンリー・クワン

中国の伝説的女優、ロアン・リンユイの半生を描いた『ロアン・リンユイ/阮玲玉』 (1991年・香港)では、主演のマギー・チャンにアジア人として初のベルリン国際映画祭女優賞を もたらすなど、女性の繊細な心情を表現するのに定評がある。

英国映画協会に依頼を受けて制作した映画生誕100周年記念作品 『男生女相』(1996年・香港)にて、 同性愛者であることをカミング・アウト。 大島渚監督の大ファンで、来日時には『御法度』のDVDを購入していたとか。 以下、7月来日時のコメント。

「映画の中の登場人物が「映画なんか見ない」と発言する事については、一種のジョーク。 僕自身、香港映画の大半を占める、いわゆるハリウッド的な作品にはなじめないので、 香港で映画を見ることが少ない。エリック・ツァンが演じる同性愛の独身男性は 僕の分身だから、彼にこんな台詞を言わせてみたんだ。 クー・ユールンは、台湾出身ということで徴兵制が関係あるのか、 香港の若い俳優が持ち得ない独特な雰囲気をそなえていて、 しかも演技の勘が抜群によかった」



■主な映画賞受賞歴

 □ 1998年ベルリン映画祭アルフレッド・バウアー賞



■MILKCINEMA評価:○ T:3 S:4 A:4 P:4 M:2 1700円

■評価について
総合評価マークは(◎…劇場へ足を運ぶ価値有り、デートに最適 ○…DVDで十分と思った △…テレビで十分と思った ×…駄作) Tはテンポ、Sはストーリー・脚本、Aはキャスト・演出、Pは映像、 Mは音楽の評価をについて各5段階で評価。(5…かなり評価できた  4…評価できた 3…順当な出来栄えと思った 2…努力が足りないと 感じた 1…完全に手を抜いているように感じた) 評価で20を 超えるか、ひとつでも5があると、◎評価になります


|milk vol.33 2000/08/22 |home2000

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