『L.A.コンフィデンシャル』初夏全国東宝洋画系にて公開 (日本ヘラルド配給)
製作・監督・脚本:カーティス・ハンソン 製作:アーノン・ミルチャン、マイケル・ネイサンソン
脚本・共同製作:ブライアン・ヘルゲランド 音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:ダンテ・スピノッティ,A.I.C. 美術:ジニーン・オプウォール
出演:ケビン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアーズ、キム・ベイシンガー他
上映時間:2時間18分 97年度・米・スコープサイズ
□筆者:MITSU 1972年7月生まれ・東京都出身。映画ライターとして東京国際映画祭などの取材を担当。
MILKでは創刊時より映画関連記事を執筆。映画製作、字幕製作などにも携わる
ストーリー&解説:
舞台は'53年末のロサンゼルス。街のギャングのボス、ミッキー・コーエン(ポール
・ギルホイル)が脱税容疑で逮捕され、縄張り争いが激化するなか、ダウンタウンの
「ナイト・アウル・カフェ」で免職されたばかりの刑事を含む6人の男女が惨殺される。
被害者の相棒だったバド・ホワイト刑事(ラッセル・クロウ)、TV人気刑事ドラマの
テクニカル・アドバイザーをつとめるスター刑事ジャック・ビンセンス(ケビン・スペイシー)、
野心家のエド・エクストリー警部補(ガイ・ピアーズ)らLAPD(ロス市警)の刑事たちが、
各々の正義を懸けて捜査をはじめる…。
事実とフィクションの線を完全にぼかしたジェイムズ・エルロイの原作を、『激流』
('94)、『ゆりかごを揺らす手』('92)で徐々にテンションをあげて観客を引き込んでいく
映像づくりで定評のあるカーティス・ハンソン監督が描いたエンターテイメント・サスペンス。
97年度アカデミー11部門ノミネート、最優秀助演女優賞・脚色賞受賞。
■ペンタゴン評価:1800円 T:3 S:3 A:4 P:4 M:4
(T:テンポ、S:ストーリー、A:キャスト・演出、P:映像、M:サウンド 5段階評定/2000円を超えるか、ひとつでも5がある場合、劇場で見る価値があることを示してます)
コンフィデンシャルとは秘密、裏面といった意味だが、この作品では50年代にロス
で実際に発刊されていたタブロイド紙「コンフィデンシャル」のこともまた示している。
作品中では「Hush-Hush」という名で登場、1950年代の豊かで華やかだった街の雰囲
気を出すのにうまく使われている。
この作品ではこのように、実在したものや人物、事件がストーリーのなかに随所に出てくるのが特徴だ。
劇中のギャング、ジョニー・ストンパナートも実際にいた人物。ロス市警で警官たちが拘留中のメキシコ人を殴る「血
のクリスマス」という出来事も実際の事件がヒントにされている。そして、キム・ベイシン
ガーがいた映画女優に似た女たちを擁する売春組織「白ユリの館」も、当時のロスに
存在していたものである。
ナイト・アウル・カフェにおける虐殺事件はフィクションだが、原作者の思惑通り、そ
れらの事実を織り交ぜる展開によって、ストーリー全体に重層感を加えることに成功
している。現代的なドラマを、今の絶好調なアメリカ経済に似た豊かな50年代のムー
ドのなかで見せたところに、アメリカ国内で評価を受けた理由があるのだろう。ちなみ
に海外ではほとんど評価されていない。
見所は見事に再現された50年代のロスの町並みと音楽。ハリウッドのサンタ・モニ
カ・ブルーヴァードにある歴史的なフォーモサ・カフェや、終幕で闘いの場になるビク
トリア・モーテルなどが復元されている。
□公式ホームページ(L.A.コンフィデンシャル)
https://www.newregency.com./laconfidential
|milk vol.4 1998/04/22 |home|1998 |