(毎月22日配信・無料) 【国内】 三菱化学生研・性別を決定する遺伝子はXY染色体以外にもあることを発表

性別決定に関係ないと思われていた遺伝子がオスの生殖器形成にかかわり、この遺伝子が壊れるとメス化してしまうことを、三菱化学生命科学研究所の福井由宇子さん、東中川徹・元部長(現・早稲田大教授)らのグループがネズミの実験で突き止めた。先月18日発行の英科学誌「ネイチャー」に発表された。生殖機能の障害、性別決定のメカニズムなどを探る手がかりとなりそうだ。

福井さんらは、もともと、ショウジョウバエで体の前後を決める遺伝子を制御するポリコーム遺伝子に着目し、これと似た構造を持つマウスのM33遺伝子の機能の解明に挑んできた。まずM33遺伝子を壊したマウスを飼育し、それを両親として交配させたところ、生まれた子供の6割はすぐに死んだが、生き残ったオス(XY型)は12匹のうち6匹が精巣ではなく卵巣を持っていた。さらに3匹は生殖器が未発達だった。一方、メス(XX型)16匹のうち2匹は、一対あるはずの卵巣が片方しかなかった。


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