【国内】静岡家裁など・性同一性障害の改名認める画期的司法判断
生まれながらの自分の性に強い違和感を持つ「性同一性障害」を理由にした改名が、今年3月と6月に家庭裁判所から認められていたことが21日明らかになった。性別自体の変更ではないが、改名が認められるのは、戸籍法により、通称名として長年使っている場合や珍奇、難読な場合などに限られてきただけに、専門家は「画期的な司法判断」としている。

認められたのは、男性であることに違和感を抱く東海地方の30歳代の会社員(3月、静岡地裁)と、男性への性転換を望む関東地方の20歳代の女子大学生(6月、浦和地裁)の二人。家裁には精神科医による診断書を添付した申立書を提出。戸籍は住民票や運転免許証など公的な証明の基礎であるとして、「戸籍の名を望む性の名前に変えなければ就業、通学、日常生活を送るのに支障をきたす」などと訴え、自分の望む名前への変更を申し立てた。両家裁は調査官の聞き取りを経て、「WHO(世界保健機関)や埼玉医大では性同一性障害と呼ばれる疾患の存在を認めている」と指摘、改名を認める審判を下した。

今回の審判について、石原明・神戸学院大教授(生命倫理法学)は「画期的な司法判断だ。性転換手術をめぐる一連の動きをきっかけに、司法でも性同一性障害についての認識が深まってきたのだろう。国は性転換法の制定など、法整備を進めるべきだ」と話している。


|milk vol.10 1998/10/22 |home1998

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