■マシュー・シェパードさん殺害事件を積極報道
■産経新聞
“神”が引き起こしている残虐極まりない犯罪が、またひとつ米・ワイオミ
ング州で発生し、若き命を奪い去っていった。“神”は、いったいどれだけ
多くの罪なき人の命を奪ったら、正気に戻ってくれるのだろうか。
すでにニュースコーナーでも伝えているように、先月7日、
同性愛者であることを理由に、ワイオミング大学に通うマシュー・シェパードさん(21)が、
頭がい骨が右耳に陥没するまで殴られた上、道端の柵に身体を縛りつけられて殺害された。
人種、宗教、性的指向を理由としたいわゆるヘイトクライム殺人であり、
その手口の残虐さに、アメリカ国内に限らず、全世界からヘイトクライム法の
厳しい適用の必要性を訴える声が大きくなっている。
クリントン大統領は、マシュー君の死亡直後、両親の元に電話するとともに、「アメリカ人が、
自分とは異なる人々に対する恐れや嫌悪は持つべきではない」との声明
を発表した。クライムヘイトに関する連邦法の対象を同性愛者に拡大する
「新防止法案」の審議は昨年秋に上程されて以来、審議が進まない状態
だったが、これを機に、一気に弾みがつくことを望みたい。
ヘイトクライムというと、多くの日本人は、同性愛者や黒人、そして一部
の人種だけを対象にしたものだと他人事のように受けとめている方もいるか
もしれないが、その「一部の人種」に、「日本人」がしっかり上位ランキング
されているという事実を忘れてはならない。そのことを考えてみると、今回
のこの事件は、決して他人事である「同性愛者の問題」ではなく、日本人
全体で考えていくに値する重要な事件なのだと思う。
ところが事件発生当時、これを報道したのは大手新聞社のなかでは、
何と産経新聞社1社のみ。後は、アメリカなど各地で、ヘイトクライム法の
強化を訴えるキャンペーンなどが始まりだした頃にようやく10月24日付け
の紙面にて読売新聞が取りあげただけで、それ以外は、11月20日現在、
記事にしたところは確認できていない。
産経新聞では、事件発生時に取りあげていることや、他が記事にしてい
ないこともあって、その後の報道も積極的に行った。特に10月19日付けの
国際面に掲載された記事は100%被害者の立場にたった内容に
なっていて、天国にいるマシュー君が読んでくれたら、きっと納得してくれる
ものではなかったかと思う。
10月24日付け読売新聞の記事は、決して悪い内容ではなかったが、
明らかにキリスト教勢力を意識したような文面が目に付き、被害者側の立場
に立った記事になっていない点が大いに不満だ。
産経新聞は10月25日付けの紙面でも、3回目となるこの事件に関連し
た記事を掲載、市民団体「同性愛者への中傷に反対する同盟」のコメント
を用いて、加害者の嫌悪感は、家族やメディア、社会から植えつけられた
もので、社会規範を重視する保守的な考えの市民が、問題解決の足かせに
なっている現状を伝えている。
※記事はバックナンバー参照
□関連サイト
https://www.mattshepard.org/ (Matthew Shepard Tribute)
https://www.planetout.com/pno/news/ (Planet Out)
https://member.nifty.ne.jp/white-ribbon/ (White Ribbon Campaign)
|milk vol.11 1998/11/22 |home|1998 |