【本日の話題】TMGFによる「ゲイと公共政策に関するアンケート調査」
■プレゼンター:赤杉康伸(あかすぎやすのぶ)
1975年5月5日生まれ。2001年5月に共同代表として東京メトロポリタンゲイフォーラム(TMGF)創設。2001〜03年:レインボーマーチ札幌 実行委員 2006年:東京レズビアン&ゲイパレード2006 実行委員。共編・著書に『同性パートナー−同性婚・DP法(ドメスティックパートナー法)を知るために−』(社会批評社)がある。
https://novkun.jugem.jp/ y.akasugi+gmail.com(+を@に変えて送信)



■東京メトロポリタン ゲイフォーラム(TMGF)とは?

ゲイがより良く暮らせるための生活環境や地域政策の調査や情報発信などを行っている非営利組織。最近では、新宿二丁目でのゴミ拾い運動や、シンポジウムなども行っています。中野区議選(2007年)にて男性同性愛者であることを公言して出馬した石坂わたるさんと、今回のプレゼンター・赤杉康伸さんのお二人が、共同代表をつとめています。

□公式ホームページ(東京メトロポリタン ゲイフォーラム/TMGF)
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/



■TMGFがこれまでに行ったアンケート調査

東京メトロポリタン ゲイフォーラムでは、衆参選挙、および、東京都内で行われる区議・区長選挙に合わせ、各政党や出馬予定者らを対象にした、政策アンケート調査を行っています。これまでに行った調査は次の通りです(年月は調査開始時期)。アンケートの調査結果はウェブサイトでいつでもご覧になれます。

□2001年6月 東京都議会議員選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/01togisen.htm
□2001年7月 参議院議員選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/01sanninnsenn.htm
□2001年8月 東京都 八丈支庁 青ヶ島村 村長・村議会議員選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/01aogashima.htm
□2002年11月 新宿区長選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/02shinjukumayor.htm
□2003年4月 統一地方選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/03touitsusentop.htm
□2003年6月 東京都選出 全国会議員を対象にした調査
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/03kokkaitop.htm
□2003年10月 第43回総選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/03sousenkyotop.htm
□2004年5月 第20回参議院議員選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/04saninsentop.htm
□2005年4月 東京都議会議員選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/05togisentop.htm
□2005年8月 第44回総選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/05sousenkyotop.htm
□2006年6月 中野区長選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/06nakanotop.htm
□2006年10月 新宿区長選挙
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/06shinjukutop.htm



■東京メトロポリタン ゲイフォーラムでは次期総選挙
■(第45回衆議院議員総選挙)に向けたアンケート調査を開始しました

2009年9月までには必ず実施される第45回衆議院議員総選挙。最大の焦点は、自民党が結党以来2度目、1993年の連立細川護煕内閣以来16年ぶりに、政権の座を明け渡すかどうかです。

東京メトロポリタン ゲイフォーラムでは、次期総選挙に向けて早くも、各政党・政治団体への公共政策アンケート調査を開始しました。調査対象は、現在衆議院に議席を有し、第45回衆議院議員総選挙比例ブロックにて立候補者を擁立する予定のある政党・政治団体(改革クラブ、公明党、国民新党、社会民主党、自由民主党、新党大地、新党日本、日本共産党、民主党(以上、五十音順)の8政党・1政治団体)です。

□2008年10月 第45回総選挙調査プロジェクト
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/08sousenkyotop.html



異性愛カップルでは当たり前に提供されている法的環境や公共サービスが、同性愛カップルには全く整備されていないという状況は、昭和の時代も、平成の今も何ひとつ変わっていません。終末期医療、養子、年金、相続、公営住宅における入居資格…、すべての問題は未解決のままです。

同性愛者が社会の一員である以上、社会全体に影響を及ぼす公共政策(教育、税制、社会保障制度、公営住宅政策…)とわたしたちの生活は、当然リンクしています。ゲイとして、政策課題や政治そのものについて考えていく際に、どういった社会像を望んでいるのか、どのような社会の一員になりたいのか、そして、政策が社会全体に及ぼす影響をどう捉えていくか。強い問題意識を持って、政治家を選んでいく必要があります。



以下、東京メトロポリタン ゲイフォーラムによる政策アンケートの一部を抜粋してお届けいたします。なお、回答は順次公開されていく予定です。(10/25現在、公開されている回答はございません)


■TMGFによる政策アンケート 1
■「一クラスに数人いる同性愛のこども。この現実を児童にどう教えますか?」

同性愛者と教育をめぐる問題につきお尋ねします。平成18年度厚生労働省エイズ対策研究事業「男性同性間のHIV感染対策とその評価に関する研究(主任研究者:市川誠一 名古屋市立大学看護学部教授)」の一部として実施された、ゲイ・バイセクシュアル男性対象の全国インターネット調査「REACH2007」(研究代表者:日高庸晴 関西看護医療大学看護学部講師)では、以下のような調査結果が出ています(有効回答数:6282人)。

・「これまでの学校教育で同性愛についてどのような情報を得ましたか」という設問に対し、全体の90.9%は同性愛に関して不適切な対応(一切習っていない、異常なものとして扱われている、否定的な情報を得た)をされた経験がある。

・実際の対応については年齢階級と有意であり、10代は「同性愛について肯定的な情報」を得た者の割合がほかの年齢階級よりも最も多い一方で、「同性愛について否定的な情報」を得た者の割合も10代が最も多い。

□上記調査結果の詳細
https://www.gay-report.jp/2007/result02.html

そこで、貴党は、義務教育である小・中学校における以下の授業分野で、同性愛(者)について扱うべきだとお考えですか? 扱うべきだと思うものには○、扱うべきではないと思うものには×を記入してください。

(  ) 公民科や社会科の「基本的人権」や「差別」

(  ) 保健をはじめとする「性教育」

(  ) 家庭科における「家族の在りよう」について

(  ) 道徳の時間における「多様性の尊重」として

(  ) 総合的な学習における「福祉・健康」として



▼ 各政党の回答はこちらでご覧いただけます
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/08sousenkyotop.html


■TMGFによる政策アンケート 2
■「同性愛者同士の結婚やパートナーシップ制度をつくってくれますか?」

同性間における婚姻やパートナーシップの登録制度についてお尋ねします。同性カップルはパートナーが病気となった場合、看護・面接権や医療上の明確な同意権などがない(終末期医療などでは、ガイドライン等で法的な家族以外の同意を認める動きが出つつあるが、医療界全般に必ずしも広がっているわけではない)その他、日常生活における不都合(金融機関との取引や、生命保険の受取人指定など)などといった問題に直面しています。

また、同性間における婚姻やパートナーシップの登録制度が整備されていないために、諸外国の法律上において有効に認められた同性カップル(婚姻カップルや登録カップル)が、日本滞在時に合法的なカップルとして認められないという状況も発生するなど、今後、外交問題に発展する可能性すら存在します。

他方、現在、オランダ、ベルギー、スペイン、カナダでは同性間における婚姻が合法化されており、他の世界各国や州レベルでも、同性間における準婚制度(ドメスティックパートナー制度など)やPACS(民事連帯協約)などが実現しています。

そこで、同性間における婚姻やパートナーシップの登録制度につき、貴党はどのようなお考えをお持ちでしょうか。以下の選択肢の中から、最も近いものを一つお選びください。また、その理由につき、回答理由欄にご記入ください。

A.「内縁関係」を広く捉え直し、同性パートナーも「内縁関係」に含めることで実質上の不都合を解消する

B.同性カップルにおいて生じている不都合につき、法制度の整備(特例法の制定や民法などの改正)により解決を図る。

C.同性カップルの準婚制度(ドメスティックパートナー制度など)やPACS(民事連帯協約)などを認める。

D.日本国憲法第24条の規定「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し…」を改正し、同性間でも婚姻を認める。

E.日本国憲法第24条の規定「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し…」の解釈変更によって、同性間でも婚姻を認める。

F.恋愛に基づくカップル単位だけではなく、複数名によって自由に家族(世帯)を構成すること認める。

G.性的指向を問わず個人単位の法体系に転換し、カップルを対象とした法的保障は極力少なくする。

H.そもそも、同性カップルの法的保障について配慮する必要はない



▼ 各政党の回答はこちらでご覧いただけます
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/08sousenkyotop.html


■TMGFによる政策アンケート 3
■「わたしの一番大切な人に、わたしの財産を残すことができますか?」

現在の日本において男性同性愛者(ゲイ)を含む同性カップルは、法律上の婚姻関係ないしはそれに準ずる内縁関係にあるとはみなされていません。そのため、同性カップルには共有財産や遺産につき、異性間の婚姻カップルに保障されている相続権が全く認められていません。

他方、日本全体が本格的な高齢社会となる中で、同性カップルとしての生き方を自覚的に選択した最初の世代もまた、いわゆる高齢者世代に突入しつつあります。同性カップルに対する共有財産や遺産の相続権について認められない現状で、カップルの片方が亡くなる場合、残されたパートナーの生存権が脅かされるケースも生じています(例:亡くなったパートナー名義で購入・賃借し、同居していた住居から立ち退きを迫られる可能性)

さらに、異性間でもいわゆる事実婚カップルや、結婚をしない生き方を選択する層が出現してきており、法律上の家族を重視する現行の相続制度に対する疑問の声が、一部であげられています。

そこで、民法における共有財産・遺産の相続と同性カップルをめぐる問題につき、貴党はどのようなお考えをお持ちでしょうか。以下の選択肢の中から、最も近いものを一つお選びください。

A.同性間における婚姻やパートナーシップの登録制度を法的に整備した上で、法的な配偶者やパートナーについては、同性・異性にかかわらず、共有財産や遺産相続の対象とする。

B.同性カップルを内縁関係と同等のもの(若しくは準ずるもの)とみなし、現実に応じて柔軟に適用する。

C.法的な配偶者・被扶養者への最低限の遺留分を設けるほかは、亡くなった人間の遺言や生前意思を最大限尊重し、残された同性パートナーを含む「法律上の第三者」へ比較的自由に相続させることができるシステムに変更する。

D.現行の相続法制を変更する必要性は無い。



▼ 各政党の回答はこちらでご覧いただけます
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/08sousenkyotop.html


■TMGFによる政策アンケート 4
■「同性愛カップルは公営住宅に入居してはいけませんか?」

公営住宅法と同性カップルをめぐる問題につきお尋ねします。現在、公営住宅法第23条1号は、公営住宅の入居者資格に関する要件を以下のように定めています。

「現に同居し,又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。第27条第5項及び附則第15項において同じ。)があること。」

この規定に伴い、異性間カップルでは結婚していない内縁カップルでさえ考慮されることが有り得るにも関わらず、異性間婚姻カップルと同様の生活実態を送っている同性カップルは公営住宅に入居することができません。

翻って、特に男性カップルは民間の賃貸住宅市場において、カップルとしての賃借を拒否されるケースが非常に多いという現状が存在します。そのため、公営住宅に対するニーズは潜在的に相当数存在すると予想されます。

また、都市化や高齢化に伴う個人世帯の増加、そして単身者同士のルームシェアリングなど、家族のあり方や住み方の多様化に伴い、公営住宅法の入居者資格が社会の現実にマッチしていないという指摘もあります。

そこで、公営住宅法における入居資格と同性カップルをめぐる問題につき、貴党はどのようなお考えをお持ちでしょうか。以下の選択肢の中から、最も近いものを一つお選びください。

A.同性間における婚姻やパートナーシップの登録制度を法的に整備した上で、同性カップルが公営住宅法第23条1号の対象となるようにする。

B.同性カップルを内縁関係と同等のもの(若しくは準ずるもの)とみなし、現実に応じて柔軟に適用する。

C.社会の現状にあわせ、法的親族以外の者同士や単身者でも公営住宅に入居できる方向で、法改正を進めていく。

D.地方自治体が「公営住宅」という形で住宅を直接供給する政策そのものをやめるべき。

E.第23条1号を含む現行の公営住宅法を変える必要は無い。



▼ 各政党の回答はこちらでご覧いただけます
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/08sousenkyotop.html


■TMGFによる政策アンケート 5
■「同性愛者が不当な差別を受けないで暮らせる社会をめざしてくれますか?」

男性同性愛者(ゲイ)を含む同性愛者の人権に関する擁護施策についてお尋ねします。2002年の第154回国会(常会)において、つぎの内容を含んだ「人権擁護法案」が内閣によって提出されました。

・性的指向による「雇用に対する差別的取扱い」「嫌がらせ」「差別表現」を、人権侵害の一態様として明記

・調停、仲裁、勧告・公表、訴訟援助等の手法による積極的救済の範囲とされる社会生活(公権力との関係に係るもののほか、雇用、商品、サービス、施設の提供、教育の領域における私人間の関係に係るものを含む)における差別的取扱いの中に、性的指向を理由とするものを対象とする

しかし、報道の自由、取材の自由、人権委員会の独立性などに問題があるとして、報道機関や野党などが広く法案に反対した結果、2003年10月の衆議院解散によって廃案となりました。

また、2005年8月には民主党が「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」を第162回国会(常会)に提出しました。同法案は、禁止する「不当な差別的取扱い」の中に性的指向を理由としたものも含んでいましたが、同月の衆議院解散に伴い廃案となりました。

その後、各党において人権擁護に関する法律につき議論が重ねられていますが、法案が国会に提出されないまま現状に至っています。

以上のような現状を受けて、貴党は今後の同性愛者の人権政策・施策についてどのようをお持ちでしょうか。以下の選択肢の中から、最も近いものを一つお選びください。

A.日本国憲法第14条の規定「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」を改正し、差別禁止の対象として、性的指向による差別も明記する。

B.同性愛者の人権擁護を進めるために、現行憲法下での法体制を整備する。
(具体的な手法・分野:                     )

C.廃案となった「人権擁護法案」「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」を修正し成立させた上で、法的な人権擁護を図る。
(具体的に修正する箇所:                    )

D.今のところ、新たな取り組みは必要ない。



▼ 各政党の回答はこちらでご覧いただけます
https://www.geocities.jp/tmgf2001jp/08sousenkyotop.html


|milk vol.88 2008/11/01 |home2008

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