日本国 角田菜穂子さん(33)
男にもてないからレズビアンになった訳ではありません―
角田菜穂子 「例えば男に飽き足りて女に走ったとか、あと男にもてないから女に走ったとかっていう言い方をされたりとか、レズビアンだから全部の女の人が性の対象だとかって言われるのは、すごい差別だと思うんですよ。私たちは別に男の人にもてなかった訳ではないし、女と生きていくことを決めたっていうか、自分でそういうセクシュアリティを選んだだけであって(MILK編集部注:ほとんどの場合、セクシュアリティを自分の意思で選択することは不可能です)、ヘテロセクシャルっていうか、異性愛者の男の人のなかではとてもそういう感覚。変なエロビデオじゃないですけど、レズ物って扱われているようなビデオを見て、こういうセックスをしてるんだとか」
テリー伊藤 「ああいうのさ、いま例えばアダルトビデオなんかでね、レズ物なんて流行ってるじゃない。ああいうの男性が見るわけだよね。ああいうの、例えば、ばんばん出ていることに対してはどういう気持ちなんですか」
角田菜穂子 「とても失礼だと思いますね」
中川 「あれは、ノンケの男の人用に、ノンケの男の人が作ったから、たぶんそのいわゆるノンケの人の願望が全部入っちゃってる。だから最初は女の子同士でエッチしてるシーンがあって、だいたい最後にはね、何か男がいいんだろうみたいに、いきなり男の人が出て来ちゃったりとか。すごいそれはもう間違いなんですよ。誤った情報」
RIKAKO 「レズビアンの方どうなんですか。やっぱり小さいときから男になりたかったとか」
角田菜穂子 「男になりたいから女の人が好きなわけではないし、自分はね。そういう人もいますけど、オナベって呼ばれている人たちで、男になりたいっていう人もいますけど」
テリー伊藤 「オナベってとかってあのね、新宿とかにお店ありますよね。本当はもうちょっとそれをビジネスにしないでいた方がなんか、そういう例えば、同性愛者の社会的地位が上がるような気がしますけど」
角田菜穂子 「まあそうなんですけど。例えばオナベの人たちの悩みっていうのは男として見てもらいたいんですよ。社会とか会社とかに。でも法律的にとか、会社で男として社員として扱ってくれない。要するに新入社員はスカートはけとか、化粧しろとかことを強いられるのが嫌なんで、じゃあ男として仕事ができるところはどこかっていうと、すごく限られたとこになっていって、結局、飲み屋さんの方にまわってしまうっていう現状はあります」
テリー伊藤 「そうかな〜」
東城広巳 「テリーさん、それはドイツの村長と一緒でね。例えば東京大学を出ていようが、京都大学を出ていようが、わたしは女装して働きたい、もしくは男装して働きたいというんだったら、そんな優秀な頭脳を持っていても、女装バーとかオナベバーしかないというのが、本当に現状なんですよ。実際、東大出ている方で、優秀な成績の方で、女装バーで勤めている方いらっしゃいます。やはりこれが現状なんですよ」
テリー伊藤 「僕ね、やっぱ東城さん、先ほどからずっと熱いメッセージ言っているでしょ。そういう東城さんみたいな人がこれが現状なんですよって言っちゃうと、いつまでも新宿のエリアから出れないってことはないんですか」
東城広巳 「がんばりますし、がんばってます」
ケビン・クローン(アメリカ) 「21世紀の中頃ぐらいには、地球の人口が100億人を超えるというような説もあるわけですよ。そういった中で、子供を産まないゲイカップルっていうのは、人口調節にすごい役立つ可能性があるんですよ。古今東西、優秀な文化人とか、芸術家は、すべてゲイの人が、かなり大きな割合を占めていると思うんですよ。今度ちょっと下世話な話しにいくんですが、僕は特にレズの方とかにお伺いしたいんですけどね。あの、例えば、僕も銭湯なんか行ったりするんですけれども、女性のレズの方は、銭湯に行かれるときは女風呂に入られんですよね? その場合って、でも向こうの大概の人たちがストレートで、自分だけがレズビアンだと、例えば僕が女風呂に入るようなものですよね」
中川 「全部の女の人を、全部性の対象で見てたら、ノンケの人たちだっておかしいじゃないですか」
角田菜穂子 「じゃあ、あなたは側にいる、ここら辺にいる女の人を全部、恋愛対象として見ているんですか?」
ケビン・クローン 「いやそんなことないですよ」
中川 「同性愛者でもタイプっていうのがあるから」
ケビン・クローン 「あなた方はレズなわけですよね。レズの人達が女風呂に入るっていうのは、これは犯罪にあたる行為にならないんですか? いや、だから、それはねえ、法律的にはならないですよ。でもそういう特権を持ってるって事になるじゃないですか」
角田菜穂子 「同性愛者だからといって、すぐセックスだとか、エロだとかって言われることはすごい失礼だと思うんですよ。私たちは別にね、全世界の女の人をターゲットにしている訳でもないし、自分を愛してくれて、自分を愛している人、その人達だけでいいんですよ」
ケビン・クローン 「いやでもハイハイ、生殖行為をやっぱりね、でもあなた方がどういうセックスをしているかはわからないけど、まあいわゆる生殖、生殖行為に…」
角田菜穂子 「だから何でそこを知りたいんですか? 興味じゃないですか。女同士のセックスへの興味じゃないんか!」
ケビン・クローン 「違う違う違う違う」
角田菜穂子 「そんなことに答える必要はない。じゃあんたのセックス答えてみろ!」
ケビン・クローン 「はいじゃいいですよ。僕は普通にセックスしてますけど」
角田菜穂子 「普通って何ですか?」
ケビン・クローン 「あなた方がそこでカミングアウトして、自分たちの文化や持っている属性を披瀝しないから、みんな社会が認めないんじゃないか」
角田菜穂子 「だからね、同性愛者だからって、どうしてそういう事言わなきゃいけないの?」
中島 「私たちはこういうセックスをしています。私たちは銭湯に入るときにレズビアンですからこちらに行って下さい。別にしてくださいという事をいちいち言わなきゃいけないんですか? そうしなければ社会は変わらないんですか。おかしいでしょう!」
ケビン・クローン 「いや、それをあなた方がそういう事をする事によって、社会を教育していくんじゃないですか」
中島 「いきなり初対面の人に、どうしてセックスのことを聞かれなきゃいけないの」
ケビン・クローン 「そうじゃなかったらあなた方はやっぱり新宿二丁目だとか、あるいは限られた場所で…、でもね、銭湯に入っているという事自体はね」
中島 「何で銭湯にこだわるの?」
角田菜穂子 「内風呂があるから、あんま銭湯行かないんでわかんないですよ」
中島 「それはあなたが、女の裸に対して興味があるから、知りたいだけじゃないですか!?」
ケビン・クローン 「いや違いますよ。あなた方の属性とか文化を社会に披瀝しなければ、みんなから誤解されているわけでしょ。もっと出した方がいいじゃないですか。われわれは、ヘテロセクシャルは、普通にみんなセックスをしている事をちゃんと言えますよ。僕は普通にセックスしますよ」
角田菜穂子 「じゃあね、セックスがわからないと人間性がわからないんですか?」
ケビン・クローン 「はいはいそれで、女風呂には僕は行きません。男風呂に行っても勃ちません」
青山 勉 「僕たちは男風呂で勃ちま〜す」
松田智也 「男銭湯パラダイス!」
日本国 高山勝さん(22)
私たちだって結婚したいし子供も欲しいんです―
高山勝 「男と女とかは考えないで、人間として人間と愛し合ったら一緒に暮らしたいと願うのは自然なことだし、大切なことだと思うんです。現在日本ではまだ男同士の結婚とかは認められてなくて、でも、
紙切れだけのがなんだっていうかもしれないけど、やっぱ、普通の男と女の結婚した人はそれを持っているし、自分は形式だけでも結婚をしたいと思います。
あと子供のことなんですけど、自分は将来、彼氏と二人で住んだときに、養子をとって子供を育てようと思います」
RIKAKO 「例えば子供ってさ、自分の精子だったりするわけじゃない、もとが。だけど養子って事はさ、まったく他人の子供を引き取るっていうことじゃない」
高山勝 「まったく他人じゃなくってもいいし。親戚の子供でもいいし、何かおっしゃってることをちょっと聞きますと、もし普通の男と女の家庭で、どちらかの生殖器に障害があって、子供ができない夫婦が子供を引き取ったとしたら、そこまで言いますか?」
RIKAKO 「どうしてこういうことを言ったかというと、できれば自分で作れた方がいいわけじゃない。愛情も自分の顔に似ているとかさ、よりかわいがれるっていうことじゃない」
高山勝 「今なんかは精子だけ採取してお腹を借りるということもありますけど、できればそれでもいいですし、でも自分はそういうんじゃなくても、ただ里親として引き取るだけでもいいです」
RIKAKO 「それはどうしてかな」
高山勝 「子供が欲しくなるのって、大人として何か当たり前の感情だと思うんですよね」
モハメド・アクタ・ドン(インド) 「子供もし育ったら、どこかから子供もらってきて、それから育てても、子供がどんどん大きくなってくるじゃないですか。学校行っても学校のみんながいじめる。なぜかもし例えばゲイの二人が結婚して子供を育てたら、朝起きたら男二人でね、旦那と奥さんで寝てる。起きたら何でお父さんもママも同じ物が付いてる。二人とも付いてる。何でママがおっぱいない? 私おっぱい飲みたい。そのときどうするんですか? パパの愛情も、ママの愛情も、二人の愛情も欲しいですよ、子供って」
高山勝 「ただ純粋に親として育てればいいんですよ」
ミッシャル・ガゼピス(オーストラリア) 「私まず思うのはゲイのカップルって子供を作れないですよね。作れないから立派な親になると思うんですよ」
サニー・フランシス 「でも愛情がそんなにあるんだったら、それを男なんだから女性にあげたらいいじゃないですか! それが普通じゃないですか!」
ママ・ドゥ・ドゥンビア(マリ) 「私ゲイ大好き。いっぱい友達いるしね。でもねぇ、ここにいる人たちはね、子供ができない人いないんですよね、本当は。だからもしその時だけ子供が欲しいんだったら自分が正しく何かそういう事だけやれば、そういうふうに子供作れば、それは別にいいんじゃないですか」
サニー・フランシス 「何言ってるの。生まれてくる子供が迷惑じゃないか」
ママ・ドゥ・ドゥンビア 「うるさいよお前」
サニー・フランシス 「違うよ! お前間違ってるよ! 生まれてきた子供が迷惑じゃないですか」
ママ・ドゥ・ドゥンビア 「うるさい! 迷惑じゃないよ」
サニー・フランシス 「違うよ!」
東城広巳 「僕も子供に関しては、ちょっと高山さんと違うんですが、例えばね、高山さんがおっしゃってたように、今後何年か分かりませんけども、一部の国みたいに同性同士の結婚が認められれば、養子を引き取ってもいいと思います。ただし、法的に整備されていないということは、現存たる、いまこういった話し合いでも殴り合いが起きるような感じで、あのこういう状況ですよ。混沌とした状況の中で、自分の欲しいという感情だけで、子供が差別されるのが分かっていながら引き取ってしまえば、それはね、自分のエゴを通すために子供の人生を考えていないなとは確かに思います。ただね、やはりそれは高山さんの考え方が悪いと否定しているんじゃなくって、逆にそういう風に差別が起きる今の制度を何とかしなくちゃいけないというのが僕のスタンスです」
RIKAKO 「ねぇ、全然話し変わっちゃうけど、引き取るとしたら男と女どっち?」
東城広巳 「なるべく経済力が許す限り、いろんな国の子達を引き取って育ててあげたいと思います」
ビートたけし 「じゃあの、韓国はね、いま映画とか、ほとんどホモセクシャルのシーンなんてカットで、そういう映画できないじゃん。その辺韓国の人、どうでしょうかね」
リュウ・ヒジュン(韓国) 「僕思うんですけども、例えば結婚とかは、まだ認めてる国はまだ全然少ないし、世界中でね。そうなるためにヨーロッパなんかでもものすごい50万人規模でゲイがパレードするじゃないですか。自分たちのことをアピールしてるわけですよ。何言われようがとりあえず僕らはいるんだから俺らを見てくれと、汚い部分もいい部分も。だから日本でもみんなやればいいんです」
東城広巳 「日本でもやってます」
リュウ・ヒジュン 「やってますか。じゃ申し訳ない。じゃ僕は勉強不足なので。もっとねマスコミに取り上げてもらえるようにどんどん規模を大きくしていって、皆さん方のご尽力でどんどんやって下さいよ。そうすれば5年後10年後には必ずあなた方に光が来ます。頑張って下さい!」
東城広巳 「ありがとうございます」
イーイーキン(ミャンマー) 「一言質問したいんですけども、今度生まれ変わるんだったら、どっちの方になりたいですか?」
東城広巳その他男性全員 「ゲイとして生まれたいです」
RIKAKO 「それはどうして?」
東城広巳 「あの、別にストレートでもいいんですけど、周りから今こうやって叩かれることが多い中で、今度生まれるときにどのくらい世の中が変わって、で、今もプライド持って生きています。で、次回生まれたときもそのプライドが正しかったのかどうか見てみたいなと思います」
?(イラン・イスラム共和国) 「すいません。さっき彼はこう答えた。『僕たちは苦しんでいる』と言ってました。『私はホモとして生まれた』何でもう一回苦しんで生まれたいの? どうして普通に
ならないんですか?」
東城広巳 「例えばKONISHIKIさんも、角界で頂点までいったじゃないですか。稽古が厳しいからつらいからといってもそのつらさが楽しさとかそういう風に変わる時ってあるじゃないですか」
KONISHIKI 「そうあった」
東城広巳 「つらいが嫌いじゃないんですよ。苦しくても嫌いじゃないんですよ」
ジュゼ・ズンズ・ラミー(コンゴ民主共和国) 「先ほど東城さんが何かプライドがあるということをおっしゃったですよね。もし本当にプライドがあれば今度この番組の放送の時にですね。みんなの顔をちょっと見たい。いつもね、隠して放送されているんですよね。今度はその顔を見たいです。それだけ」
東城広巳 「私は顔を出しています。実は前回申しませんでしたけど私はこの番組に出るまでに親類、家族、両親にはゲイということは教えてませんでした。このテレビがカミングアウトでした。
で、わたしはあの、やはりね、ここに出て意見を言うからには、ましてや、プライドを持っていると言うからには、自分で顔を出さなくてはいけないと。
ですから、いまこのような現状の中で、カミングアウトはガン告知に似たようなもので、受け手側、例えば、うちの母親がゲイに対して今言ったような知識があればまだ納得できる。
もしくは納得いかなくても、あ、そういう現象でこうなるんだな、とわかるわけですよ。ところがいま、ほとんどの方が知識がない。ということは、その知識がない中で、自分の息子がゲイだ、または娘がレズビアンだとなったらどうなるかご存知ですか? 精神病院に連れていくんです。でも直らないんです、精神病じゃないから。で、母親は狂乱になって、父親はもう家を出て行けと、そういうことが非常に多いんです。
ですから、私はプライドを持っていると言ったがために、顔を出しています。ただしね、いまこういったなかでも差別があります。このなかで職場的にいま自分がゲイだと立ち上がれない立場の人も理解してあげて下さい。その人達を、僕らみたいな人間が、これから引っ張っていきたいと思います」
■1999年10月13日放映・TBSテレビ「ここがヘンだよ日本人」
■放送で流された内容をそのままテキスト化したものです(一部省略)
|milk vol.27 2000/03/22 |home|2000 |