【韓国】タレントのホン・ソクチョンが同性愛者であることをカミングアウト
同性愛者であることをカミングアウトしたタレントのホン・ソクチョンは、各放送局から次々と出演中断を言い渡され、引退の危機に立たされている。レギュラー出演番組だったMBCの子供向けプログラム「ポポポ」からは、「韓国の社会雰囲気からして、同性愛者を何もなかったように出演させることはできない」という通告を受けた。KBSの「夜!真夜中に」にはゲストとして出演が予定されていたが、これも直前になって出演が見送られた。

MBC「ポポポ」のインターネット掲示板では、「同性愛者をおかしな目でみる習慣は間違っている」「正常的な恋をしない人がテレビに出てくるのは、韓国の情緒上望ましくない」などの、賛否両論の意見が巻き起こっている。

韓国は性に関する文芸や映画などの芸術作品について、厳しく取り締まることで知られる国。 5年前には、女子大生の性生活を描いた小説を執筆した延世大学の教授が、淫乱製造罪で懲役8ヶ月、執行猶予2年の判決を受け、職を追われたことがある。 1997年9月には、同性愛者の人権団体が同性愛をテーマにした映画を大学で上映しようとしたところ、警察による圧力がかけられ、中止に追い込まれた。昨年には女優のソ・ガプスクが同性愛などの自らの性体験を綴った本が社会問題化し、販売を停止する大手書店が続出した。

キリスト教倫理実践運動連合のイム・ソンビン(長神大教授)執行委員は「同性愛に対する学問的・社会的合意のない国内で、異性愛と同じレベルで同性愛を扱うのは受け入れ難い」と語った。

ホン・ソクチョンを放送界から追放するこれらの動きに対して、同性愛者人権団体などは放送界への復帰を強く主張している。男性同性愛者の人権の会「チングサイ(友人関係)」や同性愛者人権連帯、ソウルキア映画祭組織委員会、韓国の同性愛専門誌「バーディー」など同性愛関連の4団体と文化改革のための市民連帯、人権運動サランバンなど6団体は先月28日、「性的少数者たちも我が社会の市民として自分の生の尊厳と幸福を十分享受されなければならない」という声明を発表し、 MBCとKBSにホン・ソクチョン氏の復帰を要求した。

また、ホンに対する一部マスコミの報道を「人権蹂躪(じゅうりん)」と規定し、正当な謝罪と賠償を要求する一方で、各放送社とマスコミは性的マイノリティーに対するこれまでの報道官行を清算し、性の正体性の差を尊重する放送および報道基準の設定を求めた。

今月4日には社会団体や女性団体、同性愛団体などにより、ホン・ソクチョンを支持する会が発足した。これらの団体は記者会見で、「同性愛事実を明らかにしたホンに、放送局から放送出演中断圧力をかけるのは、個人の自由と尊厳を尊重する成熟した民主主義社会の姿ではない」とし、違いが尊重され、生の多様な価値が認められる社会に進まなければならないことを強く主張した

文化改革市民連帯のイ・ジェヒョン全州大教授は「同性愛者という理由で差別を受けるホンを支持する意味で、 MBC抗議訪問とインターネット署名運動を展開する」ことを明らかにした。


|milk vol.35 2000/10/22 |home2000

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