【サンデー毎日】ゲイとオカマとニューハーフ、違いは何?
■日本の疑問・ゲイとオカマとニューハーフ、違いは何?―
■サンデー毎日6月13日号

在日韓国人の性人類学者、キム・ミョンガン和光大学講師によると、「簡単に言えば、ゲイは『男として男を好きになればいい』という考えで、マッチョなど男性的な外見の人が多い。オカマとニューハーフはおちんちんはあるけど、女装が好み」

著書『プライベート・ゲイ・ライフ』などで自らをゲイと公言している評論家、伏見憲明さんの見解を聞くと、「戦後、同性愛者は差別や侮蔑的ニュアンスで『ホモ』と呼ばれていたが、60年代末にアメリカの同性愛者たちが、本来英語で『陽気な』『楽しい』の意味を持つ『ゲイ』を自分たちの呼び名にする運動を起こした。日本でも90年代に入って、ゲイを肯定的に使うようにしたんです」

一方オカマは江戸時代の男娼(陰間)が由来ともいわれているが、元々オカマはお尻のことを指す。「戦後、東京・上野の森には男娼文化があり、お尻(カマ)を使って性交して稼ぐ男を『オカマ』と呼んだ。以後、女性的な同性愛者一般を指すようになったんです」と、“ドラッグクイーン”のマーガレットこと小倉東さん。聞き慣れない “ドラッグクイーン”とは、ドレスのすそを引きずるほど大仰な女装をするオカマの意味という。同じ女装でも、ニューハーフはまた違う。

『異装のセクシャリティ』などの著書を持つ慶応大学理工学部教授の石井達朗さんは、「オカマはゲイコミュニティーの中での自己表現法として女っぽさを出し、ニューハーフは女性性にあこがれるアイデンティティーを表現するために女装しているんです」と両者の違いを説明する。

しかし、最近は明確な区別は難しくなっているとか。一くくりにして「クィアー」(変態)という呼び方もポピュラーになってきているというから、ますますややこしい。


|milk vol.21 1999/09/22 |home1999

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