【米】バージニア州遺伝体外受精研究所・子供の性を選択する新技術を開発
9月9日、米国の民間不妊治療医院「遺伝・体外受精研究所」(バージニア州)が、性染色体を蛍光染色して男女を産み分ける新技術を開発したことを発表した。この研究所は、遺伝病とは無関係に「女の子が欲しい」カップルの治療を実施しており、これまでに29人が妊娠に成功、性別が判明している17人の赤ちゃん中、88%の15人が女の子だった。今回の産み分け技術の適用範囲について、同研究所は(1)血友病や筋ジストロフィーなど男の子にだけ現れる伴性劣性遺伝病の回避(2)家族構成のバランスから男女どちらかの子供を欲しいカップルに対する機会提供――を考えている。

日本では1984年に慶応大学のグループがパーコールという化学物質を使った男女産み分けを臨床応用し、日本産科婦人科学会がいったん重い遺伝病の子供が生まれるのを防ぐ場合に限って認めたが、同学会は1994年、パーコールの安全性が確立していないとして、この方法による産み分けを禁止している。

ニューヨーク大医学部のジャミー・グリフォ博士は「重要な研究だが、我々は性の選択を試みるべきではない」と指摘し、伴性遺伝病に限定すべきとの考えを披露した。また、精子のDNAに蛍光染色しレーザー光を当てることの安全性に疑問を呈する声もある。これに対し、同研究所は「家族内の性のバランス補正は倫理問題ではない。多くの動物実験で出産異常は一例もなく安全性にも問題はない」と反論している。


|milk vol.9 1998/09/22 |home1998

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