パラマウント映画提供/UIP配給
監督:ピーター・ウィアー 製作・脚本:アンドリュー・ニコル
製作:スコット・ルーディン/エドワード・S・フェルドマン/アダム・シュローダー
撮影:ピーター・ビジウ 音楽:バークバード・ダールウィッツ
出演:ジム・キャリー/エド・ハリス/ローラ・リニー/ノア・エメリッヒ/他
上映時間:1時間43分 98年度・米・ビスタビジョン
□筆者:MITSU 1972年7月生まれ・東京都出身。映画ライターとして東京国際映画祭などの取材を担当。 MILKでは創刊時より映画関連記事を執筆。映画製作、字幕製作などにも携わる
ストーリー&解説:
産みの母親の契約によって、テレビ局と養子関係が結ばれることになっ
たトゥルーマン・バンバーグ(ジム・キャリー)。彼の人生は、誕生の瞬間か
ら、全世界220カ国に向けて、24時間ノンストップで生放送されていた。
彼以外の存在は、家族も、人も、町も、すべて番組“トゥルーマン・ショー”
のために用意された俳優やセットに過ぎなかった。保険会社のセールス
マンとして仕事をし、結婚もしたトゥルーマンは、ある日、出勤途中のカー
ラジオから奇妙な電波を受信し、周囲の異変に気がつき始めていく…。
『ライアーライアー』('97・米)で世界興行収入3億ドルを記録したジム・
キャリー最新作。監督は、役者の新たなキャラクターを引き出すことで定評
がある『いまを生きる』('89・米)のピーター・ウィアー。ニューヨークを舞台に
ダークな側面が強かった原作を、『ガタカ』(’97・米)のアンドリュー・ニコル
が、設定を古き良きアメリカの町を思わせる架空の小島「シーヘブン」に置
き換えて1年かけて脚本の書き直しが行われた。
■ペンタゴン評価:1900円 T:4 S:4 C:4 P:4 M:3
(T:テンポ、S:ストーリー、A:キャスト・演出、P:映像、M:サウンド 5段階評定/2000円を超えるか、ひとつでも5がある場合、劇場で見る価値があることを示してます)
テレビに代表される様々なメディアを通じて、空想の世界を夢見て楽しんで
いたわたしたちは、いつしか作り物の世界にうんざりし、ブラウン管を通して
「現実の世界」を楽しみたいという欲求がでてきた。テレビ局側も、視聴率
さえとれるのならば、そういった欲求に巨額の製作費を投じ、プライバシー
の侵害、情報操作など何でもしようとする。この物語は、その両者の犠牲と
なった一人の人間の人生を通じて、節操のない現代メディアのあり方と、
視聴者の良識を問う、限りなくリアルな空想を描いた意義深い作品だ。
このプロジェクトが始動した当時から、ジム・キャリーは主人公に決定し
ており、その後にスコット・ルーディンが、ピーター・ウィアーに話を持ちか
けた形になった。それはかつて、コメディ俳優としてのイメージの強かっ
たロビン・ウィリアムズを『いまを生きる』('89・米)で新たな魅力を開花さ
せた実績があったためだ。
ウィアーはジム・キャリーを「魅力とエネルギーを持っ
た役者だ」と語り、初対面から撮影の準備に入るまで1年以上の間、役柄
についてのスケッチを持ってキャリーの家をたびたび訪れたり、ときには
電話で話し合うなどして役作りを進めていったという。そのような監督の熱
意が俳優たちを奮起させ、新たな魅力が生まれてくるのだろう。キャリー
にとって『トゥルーマン・ショー』は、憧れのジェームズ・スチュアートに大
きく近づいた記念すべき作品になった。
この作品の見所は、異常な場面設定にもかかわらず、そうならざるを得なかった経
緯や、トゥルーマンが島から逃れられない理由づけなど、ひとつひとつの
エピソードに不自然さを感じない脚本の巧妙さ。そして、空から降ってき
た照明にちゃんとどの星座用のものかわかるように「シリウス(大いぬ座)」
と記されていたりする、きめ細かいユーモアもたくさん散りばめられている。
撮影は、1980年に宅地開発業者によってゼロから建設された、フロリ
ダ北西部に広がるシーサイドという計画都市にて行われた。当初は野外
撮影用地にオープンセットを建てる予定だったが、トゥルーマンが生活す
る町“シーヘブン”のイメージを出すために必要なものが、すべて揃って
いたことから、そのまま使用された。
□公式ホームページ(トゥルーマン・ショー)
https://www.trumanshow.com
|milk vol.11 1998/11/22 |home|1998 |